別府養魚場は野池飼育がメイン
稚魚池も好環境、できる範囲で
―別府さんは野池飼育がメインということですが、近年の猛暑の影響はありますか?
信広 暑すぎるのと、このあたりは比較的雨が少ない地域なので、そっちの心配は尽きないですよ。降ったら降ったで集中豪雨、ゲリラ豪雨みたいな降り方ですし。今は日本中どこもそうかもしれませんけど。
―そういうこともあって、生産者によっては泉水飼育にシフトにしているところもあるようですね。
信広 特に品評会向けの鯉とかはそうですね。それは大手さんというか、飼育池が多いところはそれがメインになってきましたよね。うちはハウスが少ないから難しいですけど、お陰さまで野池は今のところ問題ないので、それを使って上手に。やっぱり野池上がりの良さというか、楽しみは大きいですよ。
―野池はどのへんにあるんですか。
隆治 一つは近くの山の上のほう。あとは松山に行く途中にあったり、一番遠いのは松山を越えて今治方面に向かう途中にも。
信広 田んぼ用のいわゆる灌漑用水池です。そのうちの一つは、先代の時代からずっと借りて使っています。
隆治 その池の広さは2町半くらい。
信広 今は全部で7面ぐらいかな。全部農業用ため池です。

―稚魚池はこの近くに?
信広 そうですね。養魚場の周辺と、高速のインターから15分ぐらい走った所、もう一つはひと山越えて30分くらい。今はその3か所を拠点にしています。20年前はまだ稲を作る人が元気だったので、稚魚池はそんなに増やせなかったんですよ。でもここ4〜5年でやめる人が続出して、田んぼを使ってくれという話がすごく増えました。だから条件の良いところから買わせてもらって、すごく使いやすくはなりましたね。3か所にしたのは、リスクの分散的には良かったと思います。面積的には全部合わせて2町歩ぐらいになったので、3〜4人で回してギリギリですね。
―お二人とお父さんと、従業員の宮川さんの4人で。
信広 そうです。昔は生まれた稚魚を全部飼おうとして、反当10万匹以上入れたりしていた時代もあったんですけど、最近は7万か8万ぐらいしか放さないようにしています。ある程度の数を採らないと確率的には上がらないと思うんですけど、そうするには人が足りない。で、従業員を雇うとなると会社を回すために売り上げ重視になりますから、そのへんのバランスが難しい。結局はうちができる範囲のことをやるしかないのかなと思います。
隆治 大手と同じことはできませんから。以前は阪井さんの真似をして、いっぱい採っていっぱい池に入れて、選別もワーッとやってみたんですけど、うちには合わなかったんですよ。作業が多くて後がどんどん詰まってしまうので。採った魚を大事に飼っていくほうが、うちらには合ってるのかなと思いました。
