三色を中心に紅白、昭和も少し
銀鱗三色が当たり近年高評価

―2024年の生産アンケートによると、内訳は基本的には御三家とその銀鱗という感じですか。
信広 そうですね。あとは無地ものや光りもの。それ以外は稚魚池の空き具合などで、なんぼか採ることもあります。
―それぞれの腹数を教えてください。
隆治 去年は三色が6〜7腹、紅白は1つか2つ、昭和が2くらいかな。うちは以前から三色が好きなんでしょうね。それと、阪井の紅白は欲しくても手が出ないというのもあったと思います。
―品評会を見ていると、最近は銀鱗三色の活躍が目立ちます。銀鱗は以前から生産していたんですか。
信広 昔は銀鱗紅白がよくできていて、ずっと採ってたんですよ。それでたまたま銀鱗三色がいたときに、これで作ってみるかみたいな軽いノリからスタートしたんです。今は銀鱗三色が当たって、ここ数年多いです。

初代の銀鱗三色オス親
銀鱗三色のセット
昭和メス親 (右田産/金峰山の子)

―組み合わせは片方は普通の三色、もう片方が銀鱗三色で?
信広 そうですね。メスの三色に銀鱗三色のオスを掛けることが多いです。
―三色と銀鱗三色の組み合わせだと、両方の品種が出るわけですよね。それぞれに良いものを狙って?
隆治 もちろん狙いとしては銀鱗ですが、両方採るつもりの組み合わせもあります。三色のメスに、銀鱗三色と普通三色の2本を合わせたり。うちはそれが多いかもしれない。
―三色6〜7腹のうち、銀鱗はどのくらい掛けているんですか。
信広 3つぐらいは掛けるかな。最近は銀鱗三色が良い評価をいただいているので、ここ2年ぐらいはちょっと割合を多くしています。
―第39回全国若鯉の幼魚総合(写真①)が銀鱗三色でしたね。あとは三色、紅白でも国魚賞がありますし、九紋竜や衣でも上位を。
信広 衣は一回だけシャレで採ったんですよ(笑)。親鯉がおったけん。
隆治 阪井の昔の鯉。当歳で買ってきたのを立ててたら大きくなったから、一回採ってみるかと。できたのはこれ1匹だけでしたね。
―生産したのもそのときだけ?
隆治 二度としない(笑)。九紋竜も1〜2回採ったか……。昔、阪井さんが採っていて、うちに90㎝を超えた結構でかい九紋竜がいたのでそれを使って。でも、九紋竜もそれしか残らなかった(笑)
―御三家や無地もの以外は、良い親がいればそのタイミングで採るような感じですか。
隆治 そうですね。メインの品種以外は二毛作目ぐらいから始めるので、稚魚池の空き具合とかも。ちょっとずつ採ってみて良かったら継続するんでしょうけど、1匹良いのができても商売にならないので。

第54回全日本総合錦鯉品評会
35部桜賞
第52回全日本総合錦鯉品評会
25部桜賞
第54回全日本総合錦鯉品評会
種別優秀賞
第37回錦鯉全国若鯉品評会
12部桜賞
第11回国際錦鯉幼魚品評会
15部フェニックス賞
第51回全日本総合錦鯉品評会
種別優秀賞

―生産の中心はやはり三色になりますか。
信広 三色は昔からたくさん採ってたんです。紅白も作らないわけではないけど、型が付かなかったりでなかなかできないので、三色の腹数が多くなりましたね。今はその銀鱗がたまたま多くなってきたという感じです。
―昭和も阪井さんの系統で?
隆治 今は右田(養魚場)さんですね。だから阪井系といえば阪井系。
信広 たまたま右田さんの鯉が残っていて、結果として今の筋は右田さんになりました。
―阪井系をベースに、その流れを汲んだ自家産も親として使いながら?
隆治 そうですね。オスは自家産のほうが多いかもしれないけど、いろいろです。自家産のメスに阪井のオスを掛けることもありますし。阪井の筋は今すごく多くて僕らもちょっと把握できないので、具体的に「この血筋を使いたい」とまでは言わないです。使ってみたら良かったから、やっぱりこの筋が良いのかなとか、なんとなくあるだけで。今いる魚で、これにどう掛けたらいいのかなと考えながらやっています。