2代目のオス親で品質大幅向上
驚きの変化を見せた銀鱗三色も
―銀鱗種の伸びについてはどうですか。
隆治 3歳、4歳になってくるとどうしてもちょっと負けますよね。
―銀鱗三色で賞を取っているのは小型鯉が多いですが、やはりそういった理由もあって?
隆治 どれだけ大きくなるか、野池に入れたりするのもいますけど……。綺麗なやつは早く売って、早く賞を取ったほうがいいというのはありますね。大きくなるとどうしても銀が目立たなくなるので。
―そういう意味でも小さいほうが売りやすい?
隆治 そうですね。銀鱗種は立て鯉目線で買ってくれる人があまりいないので。
―三色としての良い模様に、綺麗な銀鱗が求められる……要求の高い品種ですよね。
隆治 御三家の中でも難しいと言われている三色に、さらに銀鱗ですから。うちは作り続けていたらたまたまできちゃったんですけど(笑)。うちのは色揚げをやっても肌が白くて、それと銀の吹きがいいねともよく言ってもらえます。最初の頃は、銀が良く吹いてるのは少なかったんですけど、2代目のオスになってからは銀鱗三色は全部吹きが良いです。

―そのオスは自家産?
隆治 そうです。今の銀鱗のオスは全部自家産です。
―どれも銀の吹きは良いんですか。
隆治 今使っているのはそうですね。
―銀の吹きに関して、メス親との相性はあるんですか? 他のメスに掛けたら吹きの良い鯉が出なくなったとか、そういうのは。
隆治 そのオスで2腹くらい採ったけど、どっちも良かったのでオスが良かったんだと思います。本当に良い腹で、墨は出るし、銀の吹きも良いし、肌も白いし。松江(錦鯉センター)さんからも「なんでそんなにできるの?」とか言われますけど、できちゃっただけなんです(笑)
―銀鱗三色のオス親はどういう流れの鯉なんですか。
隆治 阪井さんの三色に、愛媛の三好(養魚場)さんに分けてもらったオスの銀鱗三色を掛けたのが元だったと思います。それで何年か採ってたんですけど、そのときは出来が良いわけじゃなくて、何となく残してたようなのを親にして、それを掛けるとすごく良くできたんです。初代はあまり残らなかった気がします。


―どのくらいの数を2歳立てするんですか。
隆治 今年は少ないです。2代目の親は死んでしまったのもいるので。その子供を親に使って、それなりにはできているんですけど、ここ2〜3年ほどの数は残ってないですね。
信広 去年は200匹ぐらい立てたのかな。その中で銀鱗三色が30から40。
隆治 今年はもっと少ないね。
―200というのは他の品種も含めてですか。
信広 そうです。紅白、三色、昭和のジャンボ当歳。35㎝ぐらい。無地ものを入れて300くらいかな。野池で立てるのがそのくらいです。
―その中で銀鱗三色が30くらい……貴重ですね。
隆治 だから幼魚総合みたいなのがいっぱいいるんですかと言われても、いるわけないですよ(笑)。大きくて良くなったので言えば、去年の全日本の夢展に出した銀鱗三色(写真②)……手取(フィッシュランド/辻本勝彦さん)さんに買ってもらって、3歳ですごく墨が出て。
信広 夢展のときは墨がなかったんですけど、手取さんの野池なら(墨が)出るよって言って持って帰ってもらって。これは予想を超えてしまったよね。辻本君も痺れとった。うちでもここまでのはいなかったので、池に合ったんでしょうね。
―魚の素質はもちろんですが、池との相性もある?
隆治 そう思います。



(後編に続く)