―そこから泉水飼育がうまくはまっていったという感じですか。
瑛士 そうですね。結構力をいれてやりだしましたので。ですが、野池と泉水では伸びは全然違いますので、2歳の立て鯉については上から80本は野池に、それ以外の40〜50本は泉水でという感じで分けて、3歳以上は基本的には泉水で飼っています。少し手狭な感じもするので、ハウス池を増やそうとしているところではあります。
―高校を卒業してすぐに家業に入られたわけですが、飼育については他の生産者から学んだりも?
瑛士 松江さんにはすごくお世話になっています。本当は留学後に阪井さんで修業する予定だったんですが、家の都合ですぐに入らなくてはいけなくなってしまって。他の生産者の状況を知らない中で、松江さんの専務は僕が色々聞いたら「これはこうこうで、こうしたほうがいい」という話を惜しみなく教えてくれるので、それをここ数年ではすごく参考にしていますし、僕の中での師匠でもあります。
今は鯉を仕入れにいろいろなところに行ったり、品評会で集まったときに話を聞いたりして。新潟はあれだけ生産者が集まっているので羨ましいですよね。九州で同世代というと同じ福岡の高津翔平くん(高津養魚場)で4つか5つぐらい違うと思うんですけど、僕の下は10年間いないですね(笑)。
健治 私が鯉屋を始めた時も一番若かったんですよ。

愛好家がゆっくりできる場に
生産と仕入れで選ぶ楽しさも
―丸筑さんでは生産の他に仕入れもされているんですか?
瑛士 たくさん仕入れて販売するとかではないですけど、うちで作っていない黄金とか白写りとかは、他のところから仕入れさせてもらっていいます。その中で立てが効きそうな鯉なども選びながら、販売する鯉に幅をもたせられるようにやっているので、全部が全部すぐに販売する用ではなく、立て鯉も重視して仕入れはするようにしていますね。
―将来親鯉となるような鯉も見ながら。
瑛士 御三家に関してはそうですね。いろいろ使えるような鯉を。鯉ってやっぱり選んで買うときが一番楽しいんですよね。それは業者も愛好家も一緒の気持ちだと思うので、僕はそうやって鯉屋に行って、鯉を選びながら意見交換することが面白くて。
健治 私は昔から立て鯉指向でやってきましたが、今は当歳売りが主力ですし、愛好家さんも立て鯉となると高くなってしまうので、当歳のほうが買いやすいですよね。
九州地区では一昨年から幼魚品評会が始まり、若鯉、フルサイズと3つの品評会をやるようになったことで、出てくる鯉の顔ぶれがガラっと変わったのでそれは面白いですよ。
瑛士 うちではその前から当歳魚のニーズが結構高まっていたので、メスの2歳、3歳というわけではなく、オスメスどちらかわからないけど買ってみて2歳上がりを楽しみに待つ、みたいな遊び方をするお客さんが増えたんですよね。それに当歳魚のほうが選択肢が多かったりするので、今はそういった売り方をしながら、預かりもして一緒に楽しんでいます。

