―皮が光る?

五十嵐 鱗の表面だけが光るような銀鱗だと、3歳、4歳と皮が厚くなった時に、銀が飛ぶというか潰れてしまうんですよね。ですがうちで残している上寺さんの銀鱗はそういったのがないというか、腹の下までしっかりと銀を巻いているんですよ。銀の強さや光り方にこだわってそういった系統を残しているんだけど、掛け合わせた時にからし鯉自体が銀を引っ張ってきてくれる性質があるので、からし鯉と銀鱗てすごく相性が良いんですよ。

―生産の割合的には普通のと銀鱗半々ぐらいですか?

五十嵐 そうですね。メス親はぜんぶ銀鱗ですし、そこに和鯉や銀鱗のオスを掛けているので、銀鱗がよく出てくれますし多めに残しています。

―池を泳ぐ玉兎を見ても、どれも肉が入って丸々していますね。

五十嵐 餌の吸収効率が良いんですよね。給餌量でいえば紅白や昭和のほうが多いんですが、からし鯉の血が入ると効率的に吸収し太りやすいんだと思います。5、6年飼っていれば85㎝ぐらいになると思うし、絶対にそうなると思える鯉で採っているから、どうなってもつぶしのきく鯉になるとは思います。

―改良においてメリットの多いからし鯉ですが、一方でデメリットはあるんですか。

五十嵐 大きくした時に手びれがどうなるか、という懸念は若干あります。からし鯉はどうしても手びれの格好が悪く親骨が欠けやすいので、その辺はリスクではありますが、今残している鯉を見るかぎり心配はなさそうです。

シミの出ない濃い黄色を目指し

系統拡充で改良しやすく

―今後の改良点をあげるとすれば、どんな点がありますか?

五十嵐 五色の品種特性で藍地が出ると模様のキワが締まるんですよね。何年も黄色で作ってたんだけど、どうしてもキワがモヤッとしてしまうから、それを締める方法を考えた時に五色を掛ければ締まりやすいと思って五色を掛けたから、模様のキワがしっかりとしたものが出てきましたが、やっぱりイメージするのは「濃い黄色」だから、色味の改良はしていかないといけないです。

 ですが、どうしても色素が強いと赤シミが出やすくなるので、赤シミが出づらくなるように別系統で作っている模様を持った赤目のからし鯉みたいのがいるので、そういったのを掛けながら色合いを見て、赤シミができにくい黄色に寄った鯉と、品種として固めていく系統と、2系統でやっていく必要があります。

―なるほど。

五十嵐 レモン色だけではなく、戻し交配じゃないですけどオレンジっぽいのもわざと掛けてみたりとかは考えています。

玉兎/2歳メス。紅白の血が強く出ているという