―あえてオレンジ色のと掛け合わせるいうのは。
五十嵐 なんでそうなるかはわからないんだけど、例えば昭和を作ろうと思って昭和ではない他の品種を掛けて異種交配した時に、1代目で綺麗な昭和ができたとしても、それを親にして採ると次の子に引き継がれないことが多いんですよね。
なので、元黒とか昭和の特徴は捉えているけど汚いやつを、もう一回親に戻してそこに昭和を掛けてあげたりすると、素直に昭和が出てきてくれたりするんですよね。
それに五色っぽさを失わずに黄色いのを作っていくためには、五色の血が出ているものから引っ張ってこなければいけないし、オレンジが強いほうが五色地も出やすいので。
オレンジっぽくて藍地が強めに出ている玉兎でも、それはそれで新しい五色の血として残してもいいし、黄色い五色の戻し交配用というか五色の血を戻すための元親用として2種類の意味で残しておいてます。
―遠すぎず近すぎない血を確保しておくことで、いつでも掛け合わせることができるわけで。
五十嵐 例えば赤目の鯉で、薄いレモン色で藍地もはっきり出ていないけど、赤シミもジャリ墨も出ないような鯉が群生で出てきたら、今度は「色」をはっきりさせるために、血を戻す必要があるわけですよね。そうなった時に一番大元の五色に戻してしまうと、五色の血を強く引っ張って戻りすぎてしまうと。
遺伝子的に黄色い模様と五色の遺伝子を50%ずつ持っているけどどちらかというと五色寄りの鯉と、100%五色の遺伝子をもった鯉、どちらをかければ出やすいというのがあるわけで、やっぱり100%の五色に戻すよりかは、そこに戻したほうが体の格好が落ちないから、そのために中途半端な中間色みたいなやつも、五色の雰囲気を持っているものに戻してあげないといけないんです。
―やはり改良をしていくうえでは、血筋はいくつか持っておかなといけないわけですね。
五十嵐 今まであれやこれや作ってみたけど、やっぱり一発に掛けたやつより、雰囲気のあるやつに戻したほうがその次の子供は出やすいです。
―選別する際のポインなどは?
五十嵐 一番選別とかで大きくなるやつを選ぶのが結構むずかしい、黄色なんで模様が見えないので、感覚に頼る部分があるから、それが黄色がしっかり見えるということはそれだけ五色とかの血が強いということだから、大きくなる率は落ちるわけですよね。ただ基準がそこにしか持てないわけだからよそで作ってもらうと色と模様はもっと良いのができるかもしれませんが、サイズ感というか出来上がりが違ってくるので、違う角度からみて選別をしないといけないわけですよね。そこは自分だけ楽しんでいればそれでいいから、作りたいものを作っていきます(笑)。
―次の代わり鯉も楽しみにしています(笑)。
五十嵐 小西さんのドイツからしでは1年しか採れませんでしたが、その時に振り分けた子供たちが親の代になって残ってくれているので、今後はそれをどう使ってやっていこうか考えています。
―玉兎の今後の動向にも注目していきたい思います。ありがとうございました。
