五十嵐養鯉場・五十嵐 俊将さん(新潟)
新たな黄色系変わり鯉誕生
五色の可能性を広げる
「黄色い五色」玉兎(たまうさぎ)〈前編〉
近年では新潟県内水面水産試験場が「黄色系御三家」を発表するなど、変わり鯉を作る生産者のなかでも黄色系の錦鯉の作出に取り組む人が増えている。
そんななかで新潟県長岡市の五十嵐養鯉場は、その最先端を行っていると言っても過言ではない。
誰も作らない鯉を作る「すきま産業」と話す五十嵐俊将さんに、新たな黄色系変わり鯉である「玉兎」の誕生秘話を聞いた。
小西産からし×上寺系銀鱗紅白
五色の親作りから新品種作出に
―イエロー金昭和や黄竜など、黄色系の変わり鯉を多く作出している五十嵐さんですが、今回「玉兎」という黄色い五色を作られたそうで、作出の経緯を教えて下さい。
五十嵐 うちは『すきま産業』でやっているので、この品種では大きくなる鯉がいないとか、こんな色の鯉がいないとか、そういった他の生産者ではいないような鯉を目指して作るようにしています(笑)。
最近は五色のレベルがぐんとあがって国魚賞を取ったりと、御三家を負かすような五色がいっぱいできていますが、特に80㎝オーバーで体の張りが良くて綺麗な五色ってまず見ないじゃないですか。それで、そんな五色の元親となるような鯉をずっと作りたいと思っていて。

―たしかに体型が伴った大きな五色は、なかなか見ることができないですね。
五十嵐 ある時、たまたま人づてに小西さん(㈱小西養鯉場/広島)の103㎝ぐらいあるメーターオーバのメスのドイツからし鯉を手に入れまして、だいたい普通のメーターオーバーの鯉を見ても「ただ大きいな」と思うだけなんですけど、そのドイツからし鯉はあまりにも体つきが良くて、鯉としてかっこいい形をしていたんですよね。側線の鱗なんてCDぐらいあるんじゃないかって(笑)。ドイツ鯉は体が張っていても頭が小さかったりするんだけど、綺麗な顔つきで手びれも尾びれも無理に飼って大きくしたような感じでもなく、本当に素直な体つきで。
―そのドイツからし鯉には何を掛けたんですか?