―やはりそういった鯉がいると見劣りしてしまうわけですよね。
玉浦 それでうちも体を作り変えようと思って、それであるとき阪井紅白同士から採った紅白のメスに、阪井さんから持ってきたオスの三色をかけてみたんですよ。
―やはり体型の改良となると、紅白を使うのがいいわけですか。
玉浦 最初のころは阪井さんのオスの三色を使って改良しようとしましたけど、なかなか確率が悪いんですよね。一応商品にはなるんだけど、体もそんなに変わらなくて。だけどその紅白に三色を掛けた時点から変わったんです。
―目に見えて?
玉浦 もう全く違うものになりました。そのときのを何本も残していたので、今はその筋がメインになっています。
―紅白を掛けることで墨が弱くなってしまうのでは。
玉浦 それは確実にありますね。選別時から違って、どれを取っていいのかわからなくなるわけですよ。今までの予測が外れるというか。前の三色同士でやっていたときは、こんな青地だったらだいたい墨が出て、こんなふうになるとかのイメージがあったんだけど、いつまで経っても出なかったり。全然鯉が変わってしまった感じですよね。難しくなった。
―それは単純に墨が出にくくなったということですか。
玉浦 んー出にくいのかな。あるやつはちゃんとあるんです。
―その改良は何年前に?
玉浦 7歳がいるけど……それよりももうちょっと前かな。10年ぐらい前になりますかね。今はそれでできたものに、いろいろなものをかけながらやっています。
―やはり墨に一番こだわって?
玉浦 いや、紅かな(笑)。墨もまあ大事だけど。三色の紅と紅白の紅は違うから、やっぱり目指すところは紅白のような紅なんだろうな。紅白に墨が決まっているような。
―一口に「紅」といっても様々な色味があるわけですよね。
玉浦 なんというかねっとりしたオレンジ色の紅とか、それのちょっと赤いの。ガラスの器のような、どす黒い赤のようなのもあるし、いろいろありますよね。どうしても感覚的なものだから説明のしようがないんですが、目指すところはやっぱりねっとりした感じの紅かな。色は真っ赤ではなくて、明るくて若々しいイメージの。
―紅は腹の組み合わせによって変わってくるのか、それとも同じ腹でも変わってきますか。
玉浦 メス親がだいたい同じような血筋だから紅については似たような鯉ができるけど、変わるといったらどちらかというと墨かな。
―オスには阪井系統を?
玉浦 そうですね。あとは㈱阪井と。
―三色の主流が阪井系統になっているなかで、それをいかに玉浦色にしていくかですよね。
玉浦 2歳立てするのにも、選別の仕方によって全然違うじゃないですか。そこで自分のところの色が出てくるのではないかと。
―玉浦三色の魅力を表すと。
玉浦 やっぱり紅が綺麗で、なんというか……墨が効いている。
―効いている?
國則 効いている……そうね。それがちょうどいい表現かもしれません。あるとかないとかではなくて、効いている。墨がある、ではちょっとまた違うし、あるだけではだめで効いていないと。
―なるほど。
玉浦 全部が全部そういったわけではないですけどね。それに位置が大事。墨があんまり重なっていないような。紅に重なっているのはだめではないんだけど動きますからね。
日出美 私は単純に綺麗だと思います。自分のところの鯉を自画自賛するようですけど。
玉浦 そうだね(笑)。
―(笑)。
