リスク考慮も需要増の預かり飼育
同世代の活躍、いつかは自分も…
―坂牧さんは昔から関東圏のお客さんを中心に、鯉を預って管理もされていますが、使っている野池の割合でいうと?
坂牧 今は預かり池が30面ぐらいで、稚魚池が70面、多年魚で30〜40面あるので全部で100何十面あります。うちは野池はいっぱいあるんですよ。その割に出来が悪いですけど(笑)。何年かに1回まとめて作ったりもするので、少しずつ増えてはいます。
―やはり預かってほしいという需要は多いんですか。
坂牧 多いですね。池をもっと増やしてほしいと言われますが、これ以上は……。国内の愛好家さんがほとんどなので、今後高齢化などでやめてしまう人もいるでしょうし、かといって外国の方の鯉はなかなか預かれませんから。野池はいっぱいあるけど、ハウス池がそこまであるわけではないから入れられないので。
―先ほど病気の話がありましたが、他の人の鯉を預かるのはかなりリスクがありますよね。
坂牧 やっぱり気は使います。お客さん同士の池でも入らないとか、道具をちゃんと変えたりだとか。だから秋は大変で……。
―坂牧さんが代わりに池上げをするわけですか。
坂牧 大体の池はうちで上げています。ハウスには入れられないので、上げたらすぐに持って帰ってもらうように。水を抜いたりとかの準備から、道具は全部うちのを使うので、毎回毎回塩素で消毒して。秋になると3件とかかぶったりもするので網を全部持ってきて、胴長をすべて変えたりとか。
―かなり手間がかかりますね。
坂牧 シーズンなのでかなり忙しいですけど、万が一病気が他のところに移ってしまうと大変なことになってしまうので、そこは徹底しています。
―さきほど弥五郎さんと毛仔のやり取りをしているそうですが、坂牧さんのところに来る途中に弥五郎さんとの共同ハウスがありますが。
坂牧 弥五郎さんとは親父の代から仲が良くて共同で使っているんです。前は秋になると、うちの親父と弥五郎さんの親父さんが一緒に売り出しをしていたんですけど、最近は秋が忙しくてやめてしまいましたけど。

50部 銀鱗紅白/坂牧養鯉場

大正三色/坂牧養鯉場

―たしか弥五郎さんの息子さんも、大日さんで修業されていましたよね。
坂牧 そうですね。中学のときの1個先輩で、自分が大日さんを卒業する1年前に入ってきたので、1年間だけ一緒にやっていました。だから親子2代で仲は良いんですよ。
―弥五郎さんをはじめ、新潟県内では坂牧さん世代の生産者が多いように感じますが。
坂牧 たしかに多いです。かんの(かんの養鯉場)は自分の1個下で、和泉屋の龍とか丸重の三嗣が同級生ですし、ちょっと上だと丸坂の輝さんや大積さん(大積五十嵐養鯉場)。下だと力(野上養鯉場)とか宮寅とか、上下で結構います。みんな活躍している人ばっかりで。
―その一人ということで……(笑)。
坂牧 いやいや、まだまだです(笑)。新潟は層が厚いですし、仲間でありライバルでもあるからそこは負けてられないです。

―世代が近いと情報交換もしやすいのでは。
坂牧 それはありますね。やっぱりちょっと世代が離れると話しづらいこともありますので、なんでも話せる人が多いということはそれだけ勉強になります。
―昨年の8月号で取材したかんのさんをはじめ、若手がどんどん活躍していますが、互いに切磋琢磨しながら。
坂牧 やっぱり同じ世代として、かんのの存在は大きいです。毎年のように賞を取っているじゃないですか。若手のなかでもトップクラスですし、あの活躍している姿を見ていると刺激にもなるので、ああいうふうになりたいという目標を持ちながら、いつかは追い越せるように……(笑)。
―世代の厚みが相乗効果となって、次世代をになう若手がますます活躍していくことに期待が高まります。本日はありがとうございました。