第1回ワールドニシキゴイショー開催
袁建棟氏が大日紅白で初代チャンピオンに
17カ国・地域から1246尾が美の競演



一般社団法人ワールドニシキゴイクラブ(=WNC/阪井健太郎理事長/㈱阪井養魚場)主催の記念すべき第1回品評会が11月23日・24日、広島県三原市の三原市芸術文化センター ポポロで開催された。
ワールドニシキゴイクラブは全世界の錦鯉愛好家、関連業者が会員として名を連ねる新しい組織で、近年では稀な規模の大きさや、著名な錦鯉業者が役員として名を連ねることから大きな注目を集めていた。
『最高の85を求めて』。2024年に設立されたワールドニシキゴイクラブが掲げる最大のテーマだ。『85』の意味するところは、言うまでもなく鯉の体長。1m級の鯉がチャンピオン争いを繰り広げる他の全国品評会に対し、本品評会が上限を85部としたのは、多くの愛好家に可能性が広がることを期待したものだ。
体長区分は12部の次が17部、22部という、従来の感覚からすると変則的な5㎝刻み(82部と85部の間のみ3㎝)で、オス鯉の部を47部から設定。品種区分は全日本大会の区分をベースに銀鱗無地の部を追加した23品種。さらに全日本大会の雅賞、桜賞、椿賞、牡丹賞に相当する賞として、宝石の名を冠したダイヤモンド賞、エメラルド賞、ルビー賞、キャッツアイ賞、サファイア賞を設定。これも全日本より1つ多い。随所に新鮮味が感じられる第1回大会は、23日午前9時からの審査開始によって幕が上がった。
審査員は1班5名の8班編成で、全日本錦鯉振興会員、全日本愛鱗会公認審査員、WNC海外会員、WNCより招待された愛好家で構成される。特定の団体に限定せず各所から幅広く募ったのは、審査の透明性、公平性を高めることを目的としている。
通常の品評会であれば最初に大会総合優勝を選出するところだが、今回は小型鯉の審査からスタートした。袋詰め鯉を並べた屋内スペースの「ホワイエ」は、当日夜の表彰式や懇親会の会場となるため、そのセッティング時間を考慮したもの。
小型鯉の審査が滞りなく終了すると、チャンピオン決定に向けての「第二部」が始まる。通常時は施設の駐車場として使用されているスペースに、ずらりと並んだ出品プール。40名の審査員はときに歩みを止めながら、1票を託す鯉を見極めようと目を光らせる。
そして全員の投票が終わり、いよいよ開票。結果、得票した鯉は4尾で、82部紅白と85部大正三色の上位2尾が決選投票の舞台へ。果たして1246尾の頂点に立つのは―。
初代チャンピオンの座についたのは、袁建棟氏(中国)出品、大日養鯉場㈱作出の82部紅白だった。5歳81㎝で親鯉は「レッドタイガー」。三信トレーディング㈱が2022年10月に仕入れ、3歳69㎝で袁氏(蘇信錦鯉)に販売。2024年の第54回全日本総合錦鯉品評会では75部雅賞を受賞した。
今回、この鯉が最高の評価を受けたもっとも大きな理由は、その完璧なまでの美しさだろう。艷やかで厚く、かつ透明感のある紅が均整のとれた体に乗り、82部ながら大会総合を受賞したのは、多くの人にとって納得のいく結果だったのではないだろうか。第1回大会、そしてWNCの発起人として並々ならぬ決意で本大会に臨んだという阪井氏でさえ、「搬入のときにあの鯉を見て、これはKO負けだなと思いました」と語ったほどだ。

85部大正三色/Tan Peng Hwat(インドネシア)
作出/㈱阪井 取扱/成田養魚園㈱ 取次/KOI-UMEDA JAPAN㈱ Japan Direct Koi Center

85部大正三色/連 运增(中国)
作出/㈱阪井 取扱/成田養魚園㈱ 取次/Harbour Koi Farm


次点となった85部大正三色(Tan Peng Hwat氏出品、㈱阪井作出、成田養魚園㈱取扱)は大会総合優勝2位、1回目の投票で得票数3位だった85部大正三色(連运增氏出品、㈱阪井作出、成田養魚園㈱取扱)は大会総合優勝3位となった。
御三家以外の最優秀鯉である大会総合優勝Bは、1回目の投票で過半数を得た、Yohanes Jusuf氏出品の85部孔雀(㈲面迫養鯉場作出、成田養魚園㈱取扱)に決定。候補にあがった85部丹頂(Benedict Campos氏出品、伊佐養鯉場㈱作出、成田養魚園㈱取扱)はキャッツアイ大賞となった。
各班に分かれての審査は午後2時頃に終了。入賞プールエリアには、大会関係者や出品者だけでなく、休日のひとときをポポロで過ごしていた多くの人たちが集まり、あちこちから歓声が上がっていた。
午後6時からは、ホワイエで表彰式を開催。今大会は表彰式を23日と24日の2回に分けており、この日はいわば第一部として、ダイヤモンド賞、エメラルド賞、ルビー賞、キャッツアイ賞、サファイア賞、種別優秀賞を表彰。最先端の品評会にふさわしく、表彰状は従来の一般的なものとは大きく異なり、それぞれの宝石をイメージしたカラーで高級感ある仕上がり。横書きのシンプルな文面は、受賞者の多数を占める外国人への配慮もあるだろう。
