紅白から作った親で初の仔採り
新しいラインの確立へ一歩一歩
—生産はほとんどが昭和で、パール(銀鱗)を少しという感じで?
関口 そうですね。どうしても昭和が作れない池があるので、そこにパールを放しています。
—紅白や三色は作らず、昔からその2品種のみですか。
関口 紅白や三色を作ろうと思ったら、どうしても面積がなければいいものは作れないですから……。他のものを作ろうと思ったら昭和が少なくなるので、それなら昭和一本のほうがいいかなと。
—親鯉は自家産と他の生産者の鯉ではどちらが多いんですか。
関口 今はなかなか難しいので、外から持ってくるのは多くはないです。うちの中でいくつかある、血の離れているラインをうまく組み合わせながらやってます。
—血筋の異なる親鯉のラインはいくつあるんですか?
関口 今は4つですね。型が出やすい血筋だったり、墨が面白い動きをする筋だったり、紅が綺麗な筋だったりといろいろあります。
それに加えて、新しいラインとして大日さんの紅白にうちの昭和をかけて作ってきた2世代目の昭和(写真⑦)がいるんですけど、今年はそれを使って初めて仔採りする予定です。ごつくてお多福顔なので楽しみなんですよ。ボコボコしてて厚皮の、昔の鯉みたいな感じで。
—最近そういう試みはよく聞きますね。紅白と昭和とか、三色と昭和とか。
関口 ただ、本当は母体が昭和で紅白のオスを付けたほうが、昭和は出やすいんです。うちは逆になっちゃいましたけど……。
—紅白の血が入ると、こんな感じの昭和ができるんじゃないかという予測はできますか?
関口 それはちょっと難しいかな……そのメスもまだ完全に昭和っぽい感じではないので。商品になるまでにはまだ時間がかかりますけど、もう一歩進めばちゃんと昭和として出てくるんじゃないかと思います。
—今年仔採りしてみてそれで完成というわけではなくて、その先を見据えているわけですね。
関口 新しいラインができればと思っています。元の紅白は紅がすごくて、昭和とはまた違う紅なので、それを昭和に入れたいと思って使ったんですけど、子供は体のほうが魅力になっちゃって。今91㎝ぐらいになっているので、やっと今年採れるかなと。
—そのメスにどういうオスをかけるんですか?
関口 予定としてはタイプの違う3種類ぐらいかけてみるつもりです。模様と体ってすごく相反するので。
—生産の腹数は全体でどのくらいですか?
関口 全部で10腹ちょっとです。稚魚池が少ないもので。
—池は増やせない?
関口 このあたりはブランド米の米どころなので、いろいろ難しいんですよ。
—なるほど。南魚沼だとそういう事情もありますよね。稚魚池が少ないとなると、厳しく選別していかないと入り切らなくなる?
関口 逆に多めに残してます。稚魚を寄せる池が大きめなんですよ。そこに少なく放すと一気にでかくなっちゃって、模様がバパっと飛んじゃうことが多いんです。だから意図的に多めに寄せて放してます。
—薄く飼えばいいというわけではない?
関口 薄くしていったほうが良いのはできますよ。秋上げで1池で200以下とか、そうすれば大きくて良いのができます。でもそれだと数が少なくて、春までにオスメスの選別もあるからいくらも残らない。うちでそれをやると趣味の領域になっちゃうので。
結局、当歳っていつまで経ってもわからないんですよ。わからないからいっぱい残す感じですね。たとえば顔が黒すぎとか、体全体が黒いものは商品として厳しいので外すんですが、そういう鯉だけを集めている枡をしばらく経ってから選別すると「絶対こんなの入れてないよな」というのがポツポツ出てくるので、本当にわからない。



