(一社)全日本愛鱗会講習会より/㈱キョーリン

錦鯉の新知見

研究データから学ぶ「黄ばみ」「野池飼育」「飼料効率」

 ㈱キョーリンでは咲ひかりをはじめとする錦鯉の飼料を販売していますが、兵庫県宍粟市にある山崎研究所では新しい飼料の開発や、魚病に関する試験を日々行っています(①)。データで効果を示せるような商品作りを目的に、新しい機能をもった錦鯉飼料の開発を進めていますのでご期待ください。
 これまで山崎研究所では水槽を使って試験をしてきましたが、飼育できる魚のサイズの限界や池との環境の違いがあったため、6年前に実験用の10トン池8面を新設しました(②)。池を新設することで、より実際の飼育者に近い環境で大きな鯉を扱えるようになりました。

 研究所では餌の開発だけではなく、鯉に関する新しい知見を得るための基礎試験も行っており、本日はその中から得られたいくつかの知見を紹介します。この研究結果から何か一つでも飼育のヒントを持ち帰っていただければ幸いです。

講演を行った㈱キョーリン山崎研究所の宮本雅彰氏(右)と㈱キョーリン国際部の冨田弘樹氏(左)
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【錦鯉の黄ばみ】
 まずは錦鯉の黄ばみについてです(③)。皆さんご存知かと思いますが、色揚げ飼料を与えると紅はもちろん白地も黄ばんでしまいます。これは、餌に含まれる黄色い色素である『ルテイン』が主な原因となっています。色揚げは成分によって黄ばみやすさが変わりますが、弊社の色揚げ飼料は比較的黄ばみにくい原料を採用しています。また色揚げ飼料は給餌をやめると、黄ばみが比較的短期間で抜けていくことも知られています。
 本日お話させていただくのは、餌が原因ではない黄ばみについてです。黄ばみやすい鯉と黄ばみにくい鯉は何が違うのか、黄ばみやすい時期はいつなのか、この2点について説明していきます。
 実験用の10トン池で飼育する紅白は、色揚げ飼料を一切与えていませんでしたが、黄ばんでいる鯉と黄ばんでいない鯉がいることを発見しました(④)。

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