ブリーダーズインタビュー ㈱別府養魚場 井上信広さん・隆治さん(愛媛)

銀鱗三色に力入れながら、

全国目指して大型鯉作出も〈後編〉

 新潟や広島、福岡などのいわゆる「産地」とそれ以外では、訪れるバイヤーや愛好家の数に大きな差がある。
 ㈱別府養魚場は周辺に他の生産者がいない「一軒鯉屋」だ。客を呼び込むためには魅力ある鯉作りが欠かせない環境で生産に取り組み、近年は大手流通業者の取り扱いで全国大会での上位入賞が増えてきた。銀鱗三色を筆頭に、大正三色、光り無地ものなどが高評価を得ており、ライバルの多いこれらの品種で今後さらなる飛躍を予感させる。振興会四国地区長でもある兄の信広さん、㈱阪井養魚場での勤務経験を自社の生産に還元し、より高みを目指す弟の隆治さんに話を聞いた。

光り無地、からしは大型多数
親鯉は1mでなくても兄弟なら

―かなり大型の無地ものもできているようですね。
隆治 最近はからしや、阪井のシルバーフォックス系統の光り無地ものも良い評価をいただいています。
―それらは毎年採っているんですか?
隆治 そうですね。以前は山吹を中心に採ったりしてたんですけど、今はシルバーフォックス系を使って。
―54回全日本の牡丹大賞(写真③)は阪井養魚場の生産ですが、別府さんが当歳で持ってきてずっと野池で飼ってたわけですよね。
隆治 それが全日本のとき97㎝で、今年はそれの連れが101㎝になって、この前のWNCオークションに出しました。
―その筋を使って生産もしているんですね。シルバーフォックスの名前はよく聞きますが、受賞鯉はいろんなタイプがいますよね。
隆治 そうですね。金色、白、黒……。

③/第54回全日本総合錦鯉品評会 牡丹大賞(㈱阪井養魚場作出)
初期の光り無地セット (シルバーフォックス系)