—今回福伸電機とタッグを組んで、日動さんオリジナルの給餌機が誕生しましたがどういった経緯で?

吉田 私自身、直接福伸電機さんに足を運び実際に工場見学をさせてもらったんですが『メイドインジャパンの真髄』というような工場でしてね。びっくりしたのは例えばやISOなど、ものを作る上での規格や基準といったレギュレーションがいくつかあるんですが、メーカーである私でさえも見たことのないレギュレーションが壁に掲げられているんですよ。

—ほう。錦鯉業界では「餌やり名人」のイメージが強い福伸電機ですが、自動車や住宅・産業機器、航空機器関連を主軸とする会社ですよね。

吉田 そうなんです。ですから飛行機のパーツを作るライセンスだったり、車の部品を作る許可証といった特殊なものばかり。それに、これまでの人生の中で行った工場の中で一番綺麗だったんですよね。そういった現場を目の当たりにして思ったのは、メインの事業が製造販売の会社ではなく、製造に特化した会社であるということがわかったんです。

 そこで、販売からアフターフォローを弊社でやらせてほしいと直談判したところ、福伸電機の社長からもぜひお願いしたいと快諾を得ることができました。

—日動さんオリジナルの「フィーダープロ」と「餌やり名人」の違いは、どういったところにあるのでしょうか?

吉田 「餌やり名人」は錦鯉業界で長く使用されるなど完成された製品ですので、そういった基本的な性能はそのままに、例えばこれまで故障の多かったダイヤル部分の設計を変えたりと、細かなところをバージョンアップさせています。成型色も餌やり名人よりも若干濃い色となっています。それに、近年問題となっている熊による破損を防ぐための対策パーツや設置用の台など、使用する上でより使いやすくするための充実した付属品の販売も考えています。

—ソーラーパネルを大きくできるような話も聞いたんですが……。

吉田 現在JPDオリジナルの回路・基盤を作ろうとしていまして、ソーラーパネルを大きくしたりと、まるでミニ四駆のようにいろいろカスタマイズができる製品にしていきたいと思っています。

—電源タイプはこれまで通りの屋外で使るソーラータイプと、屋内で使えるAC電源タイプの2種類のラインナップでしょうか。

吉田 それらに加えてソーラーとAC電源の切り替えができる、1台2役の給餌機も開発中です。兼用にすることで外の野池で使わなくなってもハウス内で使うことができるので、場所を選ばずにお使いいただけます。こちらは6月初旬の販売を予定していますのでご期待ください。

フィーダープロ(ソーラータイプ)

—今回驚いたのは、修理やメンテナンスまで日動さんがすべて対応されるそうで。

吉田 一番の強みは「機動力」ですから、給餌機を販売するからにはそこまでやる必要があると考えます。 これまで修理・メンテナンスについては福伸電機さんが対応されていましたが、限られた人員の中での対応だったためどうしても時間がかかってしまう場合がありました。生産者や流通業者にとって給餌機は飼育の生命線と言えますので、万が一の故障時の修理やメンテンナスなど、アフターフォローまで迅速にできるよう弊社専属の技術者を新潟に置き、よりスピーディーに対応できる体制づくりをしています。

—それは心強いですね。

吉田 飼料メーカーとして私達が餌を売るための一番相性がいい製品というのが給餌機なんです。餌を売りながら給餌機も売る。そして、アフターフォローもしっかりすることで、餌のリピートにも繋がるといった相乗効果が生まれるわけです。今まで困っていたことを弊社が請け負うことで鯉屋さんに喜んでもらえれば、こんないいことはないので。

 現在、弊社で一番伸びている餌は初期飼料になります。毛仔用の餌や4選後から池上げ前に与える餌がよく売れているため、給餌機は絶対に使いますので、願ったり叶ったりで給餌機の販売をやらせていただいています。

—やはり日動さんの強みは、現場の声を直接聞ける営業さんが全国にいることだと思います。餌やり名人という本家がある中で、競合しないようにしなければいけませんよね。

吉田 当然価格競争をしては意味がないのでオリジナル製品として差別化し、使いやすさに特化した商品づくりをしていかなければいけないと感じています。

—今後は一般の愛好家さんにも給餌機を普及させていく狙いもあるわけですか。

吉田 そうですね。全国大会などでブースを設けてPRする中で、愛好家の方も興味を示してくれますし、すでにいくつか注文もいただいていますので、業者・愛好家問わず多くの方に給餌機を使っていただきたいという思いはあります。

—愛好家さんはどのように購入することができますか?

吉田 愛好家さんへの直接販売はしていないので、親しくしている鯉屋さんを通して購入してもらうように案内をしています。弊社の願いとしては、鯉屋さんに売ってもらって儲けてもらいたいんです。

錦鯉の愛好家としても知られる吉田社長だけあって社長室には数多くのトロフィーが並ぶ

—メーカー・業者・愛好家と三位一体になることで、錦鯉飼育の向上にも期待できますね。

吉田 販売からアフターフォローまでできて、それに餌もありますと。給餌機自体での価格競争はできませんが、餌を売るためのキャンペーンは福伸電機さんからも許可をいただいていますので、例えばフィーダープロをお買い上げの方に中身の餌もセットにするなど。これまでの餌のみでの販売に比べ、販売方法や営業の仕方も広がっていくわけです。やっぱり鯉屋さんに精通するツールにはすごくいいので、餌と給餌機の相乗効果を生かしていきたいと考えています。

—6月初旬にはソーラーパネルとコンセント両方を兼ね備えた、1台2役の給餌機が発売されるということで楽しみですね。

吉田 昨年の夏には『JPD夢の泉水池プロジェクト』が始動しましたので、自動給餌機と手やりで夢の90㎝オーバー飼育を目指します!

—JPD泉水池については改めて取材させていただきたいと思いますので、ぜひよろしくおねがいします。