―五色の大型化についてはどのように考えていますか。

平沢 正直言って、お客さんがあまり求めていないかな。だからうちがジャンボ当歳にして、50部、60部に持っていっても、「若鯉のサイズまでで止めてもらいたいんだよ」って。そのくらいまでなら区分総合のチャンスがあるけど、成魚から上となるとなかなか難しいので。

―成魚くらいまでなら綺麗なオス鯉が戦えている印象がありますが、70、80㎝になってくると体の面ではやはり御三家が有利になりますね。大型になって綺麗さを保っている五色は少ないですし。そういう意味では、壮魚総合は快挙だったと思います。

平沢 やはり、お客さんが求めるものに力を入れるほうがいいのかなと。

―御三家に続く品種として、今はどこの生産者も五色を作ってるので、ライバルが多くて大変ではないですか。

平沢 多すぎますね(笑)。それに、うちの五色を親に使っているところも多くて、どうしても似てきちゃうので、こっちは数で勝負かな。それで良い鯉を作って業者さんに渡して。ありがたいことに、いろいろな業者さんとお付き合いさせてもらっています。

第45回全日本総合(2014) 55部国魚賞
第47回全日本総合(2016) 70部桜賞
第69回長岡市(2022) 若鯉桜大賞

―厳しい競争の中で、どのように「かんの五色」の個性を打ち出していこうと考えていますか。

平沢 とにかく質、うちはそこしかないです。模様は他でも良いのがいっぱいできるだろうから。黒くて赤いだけでは、最後の勝負になったときに勝てないと思っています。紅白や三色、白写りにしたって、やっぱり最後は紅のツヤ、墨質じゃないのかな。

―その質のために良い親、特に質の良いオスを使うことが重要になるわけですね。

平沢 使ってはいるんですけど、なかなか率が悪い(笑)。

―かんのさんの五色は農業祭で賞を取って、それが全日本で活躍するパターンが目立ちます。

平沢 ほとんどそういうパターンじゃないですかね。

―農業祭がプロモーションの場になっている?

平沢 農業祭と長岡市ですね。50部国魚賞は長岡でした。

―やっぱりかなり厳選して出品するんですか。

平沢 そうですね。全日本でも勝負できる鯉を持っていっているつもりです。そういうところで、ある程度コンスタントに賞を取っていかないと。お客さんの期待もありますから。もちろん簡単ではないですけど。

―近年は毎回安定して全国で上位入賞していますよね。今年の若鯉は特に大活躍で。

平沢 成田さんには、「なかなかこんなに取れるものじゃないよ」と言ってもらって。取扱業者さんに感謝しています。でも本当は五色だけじゃなく、菊水でも取りたかったんですよ。1本良いのがいたんだけど、椿賞を取れなかった。

―では、五色に続く柱になりそうなものは菊水ですか。

平沢 菊水か落葉という感じですね。難しくてなかなか良いのはできませんけど。

―多くの人が期待しているのはやはり五色だと思いますが、次の「柱」も育ちつつあるようで、そちらも楽しみにしています。