全日本総合錦鯉品評会50有余年の歴史から
後世に語り継ぎたい銘鯉 〈白写り編〉
文/児島徳昭(茶の美)
全日本錦鯉振興会の総合錦鯉品評会は、50年以上の長きにわたり今日まで開催されてきました。その間に、幾多の美しい錦鯉が多くの人々の記憶に刻まれ、心を満たしてきたことは改めて記すまでもありません。
その数え切れぬほどの美鯉たちの中で、時を経た今日でも、目にした人の脳裏に焼きついて離れない、突出した美を持つ銘鯉と呼ぶべき鯉がいます。品評会という晴れの舞台で輝いた、それぞれの時代を代表する鯉を、シリーズで品種別に取り上げたいと思います。

白写りに迫力ある体を持たせるという夢を叶えた鯉。真っ白な肌に、豪快な漆黒の墨。ともすると腹部が垂れるこの品種の難題を克服し、寸法だけでなく素晴らしい体が付くことを証明した。
2001年(33回大会)頃より全国大会に登場し、第42回新潟農業祭の水産庁長官賞(全体総合2位)にも輝いた。この鯉の後に世に出た、同じ生産者の「武蔵」の愛称を持つ鯉もまた、大型白写りの先駆けとしてよく知られている。
■作出者/㈲面迫養鯉場・面迫 隆(広島県呉市)
■出品者/伊藤 仙太郎(新潟)

豊かな体形に真っ白な肌、艶のある漆黒の墨にハイセンスな墨模様、当時の大型白写りを代表する1匹であった。全日鱗第28回全国品評会75部総合一位。
■作出者/不明
■出品者/坊垣 政信(兵庫)