全日本総合錦鯉品評会50有余年の歴史から
後世に語り継ぎたい銘鯉 〈A銀鱗・B銀鱗編〉
文/児島徳昭(茶の美)
全日本錦鯉振興会の総合錦鯉品評会は、50年以上の長きにわたり今日まで開催されてきました。その間に、幾多の美しい錦鯉が多くの人々の記憶に刻まれ、心を満たしてきたことは改めて記すまでもありません。
その数え切れぬほどの美鯉たちの中で、時を経た今日でも、目にした人の脳裏に焼きついて離れない、突出した美を持つ銘鯉と呼ぶべき鯉がいます。品評会という晴れの舞台で輝いた、それぞれの時代を代表する鯉を、シリーズで品種別に取り上げたいと思います。

大きく太い体に、迫力ある緋模様、そして眩いばかりに光り輝く銀鱗。銀鱗種に力強さと質を求めたこの時代にその夢を叶え、銀鱗紅白を代表する銘鯉となった。
所有者の名を冠して「加藤銀鱗」とも呼ばれて、1980年代後半〜1990年代前半に全日鱗や振興会の全国大会で活躍、たびたび大賞を受賞した。
■作出者/須田養魚場・須田 厚(新潟県小千谷市)
■出品者/加藤 柾男(栃木)

銀鱗昭和としてただ1匹、新潟県農業祭の長い歴史の中で農林水産大臣賞を獲得した(第39回大会/1999)。
「大きく美しく」を目指し、須田厚氏が血縁の遠い鰭長鯉と越後の錦鯉を交配し、そこから生まれた緋写りのメスに、篠田進氏が昭和のオスを追わせて作られた。メスの緋写りにわずかに銀鱗が吹いていたのが優勢遺伝し、この素晴らしい骨格の大きく美しい銀鱗昭和が誕生。見事な体に光る銀の鱗は華やかの一言に尽きる。
■作出者/篠田養鯉場・篠田 進(新潟県小千谷市)
■出品者/篠田養鯉場