家庭円満をもたらす錦鯉の存在

飼育に葛藤も今後は量から質へ

―特別な思いが詰まった庭園に、やはり錦鯉は欠かせない存在ですか。
大河原 やっぱりね、庭木を見ているだけだと春夏秋冬はありますけど動かないじゃないですか。季節の変わり目の紅葉、冬になれば雪化粧、春になれば新芽が吹いて……それも綺麗ですけど、その瞬間は見れないわけです。やっぱりそうなると動きのある「水」と「池」なんですよ。常に動いている「和み」というかね。池の前に座った時は仕事のことを忘れ、頭を無にすることができるから、1時間ぐらいずっと鯉を眺めて優雅な時間を楽しむことができます。
―まわりの閑静な環境も相まって、心が安らぐ空間が広がっていますね。
大河原 うちの子どもたちに庭掃除を手伝ってもらうことがあるんですけど、「自分で作って1人でできないんだったらこんなに大きな池を作らなければよかったのに」と言われるんですが、それは違うんだと。年を取ってくるとやっぱりこう「和み」が大事で、「家」と「庭」があって「家庭」なんだよと伝えているんです。家庭という字は家と庭じゃないですか。良い家庭ができるのは、庭と池があってこそとよくいったものですよ。みんなで庭掃除をした後には、そこでバーベキューなんかを一緒にして、ゆっくりとお酒を呑むと。それも家庭円満のひとつです。

―錦鯉がいることで家族団欒もできるわけです。ただ、やはりこれだけの庭を管理するのはかなり大変なわけですか。
大河原 11月になれば紅葉になり、夜はライトアップしてすごく綺麗ですが、落ち葉はもう半端ないですよ。池の中もそうですが、庭に落ちた葉はすぐに掃除しないと雪の下でコケに張り付いたりと春先が大変で。ハウス池で飼っている人がうらやましいと思うんだけど、やっぱり景観として「和み」を重んじていて、庭とマッチするようにやっています。
―ちょうど本日、新潟市の㈱アクアリゾートさんから大型の鯉が新たに池に追加されるなど、多品種にわたって立派な鯉が泳いでいますが、当初から大型鯉の飼育を?
大河原 最初は試し鯉じゃないですけど、稚魚みたいのをいっぱい入れていたんですけど、そしたら眠り病にかかってほとんど全滅させてしまいましてね。エラ病や穴あき病とかで、死んではまた買ったりでだいぶ葛藤しましたよ。病気も分からなければ、そういった対処法も全然わからないのでなんで死ぬんだろうとか、どれぐらいの頻度で濾過槽を掃除しなければいけないとかね。ここら辺は鯉屋さんがないので、近くの愛好家の人に聞いたりもして、かれこれ10年やってきてようやく落ち着いてきたという感じです。春先の餌を与えるタイミングだとかを考えながら。やはり大型鯉のほうが体力がありますから、今では50㎝以下の鯉は基本的に飼わないようにしています。

2階から見下ろす池と庭。向かいには蓮畑、奥には菅名岳を望む

この日は㈱アクアリゾートから新たな鯉を追加
多品種の大型鯉が数多く泳ぐ

―飼育から10年を迎えて、次の10年に向けて目指していきたいことなどはありますか?
大河原 「量より質」ですかね。皆さんそうかもしれませんが、だんだん目が肥えてきて贅沢志向になってきているので、見ていて飽きない鯉、自分好みの良い鯉を集めていきたいと思います。私は品評会に出すわけではないので、自分の池だけで楽しんで、こうやって悠々と泳いでいる姿を見ているのがいいんです。今日みたいに新しく入れた鯉でもすぐに他の鯉と慣れるところ、やっぱり錦鯉はいいですね。わかればわかるほど魅力が増していきますよ。
―錦鯉との庭づくりはまだまだ続きそうですね。本日はありがとうございました。

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