Q:背鰭が虫食いのようになった鯉が1〜2匹だったのが、最近は5〜6匹に増えてきました。考えられる原因と対処法がありましたら教えてください。

A:背鰭に欠損部位が見られるということだと思いますが、カラムナリス(Flavobacterium columnare)などの細菌によるものではないでしょうか。また、他の個体にも伝播していることから、感染症の可能性が高いと考えられます。

 対処法としては、できるだけ早い段階でオキソリン酸やニフルスチレン酸などの抗菌剤による薬浴を行い、伝播する前に抑え込むことが大切だと思われます。これはカラムナリス症だけに限らず、感染症に対しては一番有効かつ大事な対策です。

Q:酸素を入れて袋詰めした鯉は、どのくらいの時間生きられますか。

A:魚の大きさや数、水温などによって違うと思いますので、一概には言えません。まず魚ですが、一般的に小さい魚のほうが代謝は高くなるので、酸素をより多く必要とします。例えば1㎏の魚1匹よりも、100gの魚10尾のほうが必要な酸素は多くなります。水温については低いと代謝も下がる傾向にあるので、水温は低いほうが長く生きられると考えられます。

 ちなみに、袋詰めするときは純酸素を充填するので、理論的にはゆうに数日分以上の酸素が入っていることになります。そのため、袋の中で酸素が足りなくなることはほとんどありません。袋詰めの状態で死んでしまう場合、酸欠ではなくそれ以外の原因であることも少なくありません(大量に魚を入れすぎたりすると酸欠になる)。

 それ以外の原因として、代謝によって発生する二酸化炭素やアンモニアが挙げられます。どんなに酸素が残っていても、これらの物質が水中に溜まると魚は死んでしまいます。特に二酸化炭素は濃度が高まると麻酔状態に陥ります。

Q:ペーハー、アンモニア、亜硝酸、硝酸、溶存酸素のそれぞれの適正値、許容値を教えてください。

A:ニシキゴイ飼育での水質に関する記述は色々なところで見られますが、かなりバラつきがあります。それだけコイ自体が色々な水質に順応できるからだと思われますし、目的(健康に育てる場合と綺麗に育てる場合など)によっても水質が変わってくるからです。

 健康に育つ条件として、pHは6・0~8・5が許容範囲とされ、7・0~7・4が適正範囲とされています。アンモニウム(NH4-H)の場合には5ppm以下が許容範囲で、0・1ppm以下が適正と言われています。亜硝酸は0・5ppm、硝酸は10ppmまでが許容範囲とされ、それぞれ0・1および3ppm以下が適正となります。

 溶存酸素量では、50%以上(水温20℃の場合およそ4・4㎎/L)が許容範囲で、理想的には80~100%(水温20℃の場合およそ7・1~8・8㎎/L)とされています。

 参考までに、水温は0~38℃までが許容範囲で、20~28℃が適正とされ、COD(化学的酸素要求量=水中に含まれる有機物による汚濁の指標)は4ppm以下が許容とされています。複数の資料をまとめたものなので、許容範囲や適正範囲の基準が異なりますが、参考にしてください。

Q:鯉を飼育するうえでの適正な水深を教えてください。最近はあまり深くしない傾向にあるとも聞きます。

A:よく水深は2mくらいという記述を目にしますが、科学的根拠があるのかは定かではありません。ただ、最低限の水深については、コイの体長よりも深くするという文献があります。コイはもともと底にいる生物を食べることが多いので、頭を下にして捕食する機会が多くなります。そのため、体長よりも水深が浅いと尾鰭が水面から出てしまい、体勢を維持できないためです。