ブリーダーズインタビュー 関口養鯉場 関口雅幸さん(新潟)
進化を続ける関口昭和
「ニュータイプ」も視野に入れ〈後編〉
昭和のブランドとして絶大な支持を集める関口養鯉場。全国大会の上位にその名を見ないことはなく、特に第32回錦鯉全国若鯉品評会のチャンピオン獲得以降の活躍は目覚ましい。
そして今年、第55回全日本総合錦鯉品評会で、同場の作出鯉が5大会連続の若鯉総合優勝受賞という快挙を成し遂げた。区分総合優勝の最多連勝数については定かではないが、稀有な記録であることは間違いなく、しかもすべて異なる鯉での受賞が、その価値をさらに高めている。
新しい昭和作り、そしてこれから目指す方向は……豪雪のなか、静かに闘志を燃やす関口さんに14年ぶりのインタビュー。
1選までが勝負の稚魚育成
早め選別、以降は無理させず
—どうしても若鯉総合に注目が集まるわけですが、大きな魚への憧れというか、そういうのを作りたいという気持ちもやはりあるわけですよね?
関口 当然、そこ(若鯉クラス)だけを目指してやっているわけじゃないので。ただ、90㎝とかそれ以上で全国で戦いたいかと言ったら、そういうのはあまりなくて。言ったほうがカッコいいですけど(笑)、設備力だったり面積がないと絶対そっちには行けないので。
—親鯉はどのぐらいの大きさなんですか。
関口 基本的には85㎝から90㎝ぐらいのが多いですね。若くして使うやつは80ぐらいのがいますけど。
—であれば当然、子供も大きくなる素質はあるわけですよね。
関口 そうですね。でかいのを欲しがってくださる方もいます。だけど、それをたくさん生産するとなると設備が必要なので。
—単純に、池をもっと増やさなければいけないと?
関口 池もそうだし、人も増やさなきゃいけないし。一番ネックなのは、この地域(塩沢)って夏場が短いんですよ。春が遅くて冬が早い。大きくできるシーズンが本当に短いんです。
—産卵はいつ頃なんですか。
関口 6月です。その時点で新潟で一番遅いんですよ。5月でもできなくはないんですけど、不安定すぎていいものができない。
—水温などが?
関口 そうです。うちは稚魚育成は1選までが勝負なので、1選までに太らせて、あとはゆっくり無理をしないという感じです。どうしてもでかくしたくなるので、無理やり餌を多くやっていた頃もあったんですけど、それをやると模様が飛ぶんですよね。
