㈱小西養鯉場が広島城に錦鯉放流
平和の街に息づく新たな象徴へ

 10月6日㈪、広島県広島市の㈱小西養鯉場が広島城のお堀に錦鯉145尾を放流した。この日放流された錦鯉はサイズ・品種とさまざまで、中には体長90㎝、重さ15㎏を超える迫力満点の錦鯉も数多く放流された。
 広島城は戦国武将・毛利元就の孫、輝元が約400年前に築いた城で、周辺がかつて「己斐浦」(こいのうら)と呼ばれていたことから「鯉の城=鯉城」として知られるようになった。
 そんな鯉と関係の深い城だったが、「鯉城という名前なのにお堀に鯉がいないのは寂しすぎる」と、2018年から小西丈治さんが活動を開始。今年2月にも170尾を放流し、7年間で約1500尾を無償で寄贈してきた。色鮮やかな錦鯉を見られる環境づくりに尽力し、放流後も定期的に餌やりや水質管理を続けてきたことから、その活動が評価され、広島市の松井一實市長から感謝状が贈られた。
 広々としたお堀で優雅に泳ぐ錦鯉の美しさに、観光客や市民らが足を止め、写真を撮る姿が多く見られるなど、今では新たな観光名所として注目を集めている。
 鯉は英語で「カープ」と言うことから、プロ野球チーム「広島東洋カープ」のチーム名の由来にもなっている。小西さんは「丹頂という品種は赤いヘルメット(通称『赤ヘル』)を被ったような模様をしているので、『赤ヘル鯉』と名付けています。今年の広島東洋カープは残念でしたが、来年こそ頑張ってもらいたい」と笑顔を見せた。
 この日は、同場のヨーロッパ代理店を務めるKonishi Europe GmbHのMartin Kammerer代表も参加し、慣れた手つきで一匹一匹丁寧に放流していた。
 「広島城は広島市の原点。鯉城と呼ばれている堀に鯉が泳ぐのは僕としては夢だった。鯉は争いごとをしない。けんかをしない。平和を大事にしている町にぴったりの魚である。広島のシンボルとして錦鯉を皆さんに愛していただきたい」と小西さんは語った。
 お堀を泳ぐ「赤ヘル鯉」をはじめとする錦鯉の姿が、平和の街・広島の新たな象徴として今後も多くの市民に親しまれていくことだろう。

ヨーロッパの代理店であるKonishi Europe GmbHの
Martin Kammerer代表も放流を手伝った
地元テレビ局の取材を受ける一行

今年2月に行われた感謝状の授与式