拓朗錦鯉セミナー・設備編/講師:大菊拓朗(横浜錦鯉)
失敗しない池造り〈第1回〉 ――錦鯉を長く楽しむために
人気企画・大菊拓朗(横浜錦鯉)の錦鯉セミナー。今回は設備編として、池造りについて実例を挙げながら解説します。
錦鯉を飼育するために、なくてはならないものが「容器」。環境や目的、予算などに応じて、水槽から大型のコンクリート池まで選択肢は様々です。飼育は試行錯誤の連続といわれますが、池の大がかりな改修はできることなら避けたいもの。後悔しないために、将来を見据えた計画を立てましょう。
今回のテーマは「失敗しない池造り」です。
池をお持ちの方も水槽の方も、錦鯉の飼育における醍醐味や面白さは共通していると思います。
まず1つ目は、餌をあげる楽しさ。2つ目は大きく美しく育っていく変化の過程。優雅に泳ぐ姿に癒やされることが3つ目。そして4つ目として、鯉を集める楽しみ、コレクション的な要素といったところでしょうか。
では、これらの目的を達成するためにはどのような条件が必要かといいますと、最も重要なのは病気が出ない環境を作るということ。次に、観賞しやすいように透明の水であること。そして、大型になっても飼育に耐えうるだけの水量。この3つを考慮したいわけです。
鯉というのは長年飼育されている方が多いことからもわかるように、1年でやめたり半年でやめたりするような薄っぺらい趣味ではなく、奥が深いものですから、一度池を造ったらできるだけ長く楽しみたいですよね。当店で一番年配のお客様に、92歳の方がいらっしゃいます。鯉は犬や猫のように、旅行のときにペットホテルに預けたりする必要はありませんし、散歩にも行かなくていいので、自宅で生涯楽しめる良い趣味だと思います。



ひと口に鯉と言っても、いろいろな種類がいるところも魅力です。紅白、三色、昭和という御三家にはじまり、写り、光りもの、浅黄、秋翠、衣、五色など……品評会区分だけでも20種類以上あるわけです。その中で自分の好きな品種を集めて何十匹となってくれば、その数を飼育できるような器が必要になってくる、欲しくなるという気持ちが出てくるのではないでしょうか。
また、鯉はペットの中でも長寿として知られています。生きるということなら50年以上、観賞寿命だけで考えても10年ぐらいありますので、それに応じて良い器を用意しておけば長く楽しむことができます。そのためにも、「失敗しない池造り」が重要になってくるのです。
以上のような事柄をふまえて、どのように鯉で遊ぶか……。例えば庭の制約があったり、自宅がマンションの場合は、ベランダに水槽を置くケースが多いのではないかと思います。そういう場合は締め飼いといって、あまり大きくせずに育てる楽しみがありますし、ある程度の広さの池を所有することができるならば、年々大きく育てていくことによって魅力を発揮する、立て鯉という遊び方もできます。また、仕上がってきたときに品評会でお披露目するという楽しみもあります。
続いて立地と予算、そしてメンテナンスという3つの点について考えてみましょう。よくマイホームは3回建て直すと理想的なものができると言われますが、池もそれと同じで一度造ると、こうすればよかった、ああすればよかったという気持ちになってくることがあります。小さな池から始めたものの、鯉が大きくなったので、もう少し大きい池を造っておけばよかったと後悔する方は結構いらっしゃるんですね。でも、家も池もそうなんですが、造るにはかなりの建設費用がかかりますので、一発で満足のいく池を造るに越したことはないというのが、誰しもの本音だと思います。もちろん無い袖は振れませんから、それぞれのお客様の予算と立地を考えて、その中で最大限のものを造ることが大事です。
池の建設予算についてですが、私はお客様に「新車1台を諦めてください」という言い方をします。軽自動車の新車から高級外車まで、車の価格には幅があるわけで、池も安く造ろうとすればそれなりに収めることはできますし、もちろんお金をかければかけただけ良いものを造ることができるという意味で、一つの物差しとして車1台を例に挙げています。











