愛鯉家訪問2026 門脇英司さん(北海道)
自分で考え、自分で作る充実感
1クラス上の「プロ仕様」シート池
愛好家がコンクリート池を作ろうとする際、真っ先にクローズアップされるのは費用面ですが、築造に要する時間や、将来取り壊しが必要になったときのことまで視野に入れると、ハードルは一つだけではありません。そこで有力な候補となるのがシート池。これまで本誌では、シンプルな構造のものからコンクリ池と見紛うような本格的な池まで、多くのシート池を紹介してきました。
過去の例に照らし合わせると、門脇さんのシート池はかなりの「本格派」。北海道はハウスが必須になるため、建設コストはもちろん念頭にありますが、門脇さんの場合は製作のスピードと、シートでも十分なクオリティを実現できる自信があったことが大きいようです。使用する素材は、池用途で一般的に使用される品の上を行くもの。明るいハウスの中で鯉を眺めながらくつろぐ時間は、門脇さんにとって何ものにも代えがたい癒しの時間になっています。
資材のプロが選んだ究極シート
骨格は木材、防腐&万全補強
木の香りが漂うハウス内。頭上にはぶどうのツルが広がり、陽光を透過して鮮やかさを増した若葉が清々しい。ハウスはこれまでに何度か増築を重ね、ベースの骨格は20年以上が経過しているという。すべて古材を利用した手作りで、外壁と天井を走る木材の本数はかなり多く、中央の太い梁がいかにも頑丈そうな印象を与える。高品質の防腐塗料を塗っているため、結露などによるダメージは最小限だ。
門脇さんは建設資材などを幅広く扱う会社を経営しており、池作りに必要な材料を揃えやすい環境に恵まれている。そのため、池とハウスは大部分が手作り。適材適所の材料を使い「シート池=簡易池」というイメージを覆す完成度の高さを誇る。
一番好きな色という緑の塗料で統一されたハウス内には、約6・5トンと、そのほぼ倍となる約14トンの二つの池が備わる。6・5トン池は2・4m×2・7mで水深は約1m。そのうち30㎝ほどは地面の下。以前は水深60〜70㎝だったが、取材の数週間前に高さを上げて、大型鯉の飼育にも対応できるようになった。
14トン池は3・6m四方の正方形で、水深は1・1m。こちらも下部の30〜40㎝は地中にあり、シート池で一般的な立ち上げ式と比べてのメリットは、水圧の分散も含め、池そのものの安定性が高まることがもっとも大きいだろう。土木作業の手間はかかるが、池の側壁だけで水圧を受け止める場合とは安心感が段違い。地震が多い日高地方においては、揺れによる池のダメージ対策としても有効だ。
構造の特徴としてもう一つあげられるのは、単管を使っていないこと。シート池は単管で骨組みを作り、コンパネを組み合わせるケースが多いが、サビという金属の弱点を回避するため、門脇さんは木材を選択。ビス止めや角金具などでの補強によって、十分な強度を出せるというのが資材の専門家が出した答えだ。補助として、数十トン級の荷揚げなどに使う土木工事用のワイヤーを、池の上端部に十字に張っているほか、側壁下部には鋼鉄製の杭を地中に打ち込んで水圧による広がりを防止。万全の対策でトラブルなく飼育を楽しめているという。














