愛鯉家訪問2024 川上龍二さん(茨城)
オスでも伸びる! 勝てる!1.8トンFRPで全国に挑戦
錦鯉愛好家なら誰もが憧れる広い池。3トンあたり1本、いや5トンに1本の薄飼いで90㎝を目指そうか……というのは多くの人にとって夢の話。お金の問題に加え、設置の手軽さや撤去のことまで考えて、既成品を選択する愛好家は少なくありません。
川上さんの飼育環境は1.8トンのFRP水槽が2つと、500リットルのコンテナ。この水量だと小型〜中型鯉が中心かと思いきや、FRPの1つは全7本が60㎝以上で、最大は70㎝台後半。そして驚きなのが、これらのすべてがオスであること。当歳で購入後、オスと判明した鯉をあえて残し、自宅で飼育しているのです。
「オスでも大きくなりますし、綺麗になります」という川上さんならではの楽しみ方を聞いてきました。
通年給餌で冬でも同じ
量マメな掃除、湧清水も効果大
川上さんが本誌記事に登場するのは実は2度目。初登場は2007年、飼育歴5年ほどの愛好家として、かつての人気シリーズ「1坪池バンザイ!」で紹介している。当時はFRP水槽1台と90㎝水槽で飼育しており、そのFRPは今も現役だ。
17年前との違いは、同型のFRPを1台増設し、湧清水10型を設置したこと。さらに当歳用の500リットルコンテナを置き、それらのすべてが収まるビニールハウスをかぶせた。使用しているFRPの水量は標準では1・5トンだが、オーバーフローのパイプ位置を変えることで1・8トンに増量している。そのぶん水面が高くなったので、飛び出し防止のネットは必須だ。


設備の充実にともなって、鯉のレベルが大幅にアップした。2つあるFRP水槽の1つでは、4歳以上の比較的大型の鯉を飼育しており、ここには関東甲信地区大会で各部総合など上位入賞した鯉のほか、第54回全日本で70部オス国魚賞を受賞後、取り扱いの坂東コイ・ファームから戻ってきた紅白の姿も。これらはすべてオス鯉だ。
川上さんがオスの飼育に力を入れているのは、スペースの問題が理由の1つ。2・4×1・2m、深さ60㎝のFRP水槽は決して小さくはないが、メスを大型に育てるには少々窮屈に感じることもありそうだ。
「メスで最終的に85㎝、90㎝まで育ってほしいと思ったら、この池で抑えてしまうのはもったいないので」と川上さん。とはいえ、オスだからと小さく抑える飼育をしているわけではない。むしろ伸ばしてボリュームをつけることを目標にしているわけだが、オスを選ぶもう1つの理由は、「バンバン餌をやって大きくしても、オスのほうが腹ボテになりにくい」から。4歳以上の7本はどれも体のラインが良く、体型はメスに負けていない。川上さん自身も、かつては「オスでメス並の体を作れるとは思っていなかった」そうで、その背景には決してセオリーどおりとは言えない飼育法がある。


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