販売店インタビュー 札幌錦翠 高橋和宏さん(北海道)
北海道の愛好家支えて45年
自家産を主力に品評会も好調〈前編〉
北海道の錦鯉愛好家にとって欠かせない存在の札幌錦翠。道内一の老舗として、頼れる鯉屋であり続けている。
創業時から続けてきた仕入れ・販売という業態が転機を迎えたのは2006年ごろ。愛好家層の変化を感じ取っていた店主の高橋宏昭さんは、良品を安価で販売できるよう、道内の野池で毛仔飼育をスタートさせる。その結果が思いのほか良かったことから、自家生産に移行。販売鯉の8割を自家産が占めるようになった現在、2代目・和宏さんがさらに磨きをかけ、品評会では安定して上位入賞を果たすほど品質が向上している。
5月18日に行われた北海道錦鯉品評会の翌日に札幌錦翠を訪ね、放養の準備が進む当別町の野池にも足を運んだ。
自家産比率は今や販売の8割
昨年使用の親は過去最高の出来
―札幌錦翠さんは和宏さんのお父さん(宏昭さん)が創業されて、どのくらいになりますか。
高橋 もう40年以上……45年近くになりますね。最初は平岸(札幌市豊平区)で創業して、ここ(白石区)に移ってきました。
―もともとは、西日本や新潟などから仕入れてきた鯉を販売するというスタイルでしたよね。私は20年ぐらい前から、北海道の品評会などでたびたび札幌錦翠さんにお邪魔するようになり、その頃に広島や島根から毛仔を取り寄せて当別町の野池で育てるようになったと記憶しています。その後、2014年頃から自家生産をスタートさせて。
高橋 昔は北海道では野池飼育が難しかったので、飛行機で新潟に送って野池に放していたようですが、やっぱり手間がかかるんですよね。でも、温暖化で暖かくなってきたので、こっちでもやれるんじゃないかということで、大きな鯉を野池で飼ってみたら良い結果が出て。
最初の頃はまだ入れる時期が遅くて、上げる時期は早かったので、今ほどちゃんとした野池飼育はできてなかったと思いますけど、だんだん暖かくなってきてガラッと変わりました。それから毛仔を何万匹とか送ってもらって、野池で育てたらそれもうまくいって、自分でも採ってみたいと親父は思ったようです。
―自分で作れば価格もある程度調整できますしね。
高橋 そうですね。仕入れて販売となると、やっぱり原価がありますから。うちはごく普通のお客さんも多いので、自分で作って安く販売できればいいし、その中で少しでも良いものができれば。