錦鯉振興会がブラジル市場開拓と
輸出再開に向け現地イベントに参加

 8月22日㈯・23日㈰、(一社)全日本錦鯉振興会は国の「品目団体輸出力強化支援事業補助金」を活用し、ブラジル最大都市のサンパウロで行われた新潟県主催の輸出促進イベントに参加した。
 本イベントは同県の特産品である日本酒や米、金属加工品などを紹介するもので、その一環として錦鯉も展示された。なお、錦鯉は輸入規制されているため、ブラジル国内で生産された錦鯉を展示。
 今回のブラジル訪問においては、錦鯉のPR活動だけではなくブラジル国内の錦鯉市場の調査や、現在ストップしている日本からブラジルへの錦鯉輸出の再開に向けた道筋をつくることが大きな目的とされた。
 新潟県からは錦鯉振興会の会長を務める花角英世県知事をはじめ、県議会議員や県職員、各業界を代表する関係者など、合わせて30余名が参加。
 錦鯉振興会からは、長年にわたり錦鯉輸出のパイオニアとして海外市場の開拓に尽力してきた、同会元理事の尾形学氏(㈱尾形養鯉場/福岡)が海外戦略特使として参加したほか、ハワイで錦鯉の販売を行う樹神太郎氏(Kodama Koi Farm)が参加した。
 現地の案内と通訳には、新潟県の大日養鯉場㈱で錦鯉について学んだ経験をもち、現在ブラジル錦鯉協会の会長を務める日系2世のロニー尾西氏が担当した。
 イベント前日の21日㈮、一行がブラジルに到着すると、早速ロニー氏の案内で、サンパウロ郊外で錦鯉の生産を行っているTanabe Koi Farmの田辺氏を訪問。日系2世である田辺氏は広大な施設と販売所を所有し、ロニー氏から提供された大日養鯉場㈱産の昭和や紅白の親鯉で自家産に取り組み、当歳や2歳を中心に販売していると話す。
 「日本から遠く離れたブラジルの地で、どのように錦鯉が生産され、販売されているのかを実際に見ることは、現地市場を知るうえでも貴重な機会となりました」と尾形氏。

大賑わいとなった錦鯉ブース
展示されたブラジル産の錦鯉

在ブラジル日本国大使館の野口泰大使(中央)
サンパウロで錦鯉の生産販売を行う
Tanabe Koi Farmの視察

 翌22日㈯は、サンパウロ中心部にあるニッケイパレスホテルを会場に輸出促進イベントが開催され、紅白や丹頂、山吹黄金など2~4歳の大型鯉と、当歳魚を入れたプールがそれぞれ設置された。展示された錦鯉はいずれもブラジル国内で生産された錦鯉だったが、近親交配の影響と思われる体型上の特徴が見られ、現地の生産者も日本産の親鯉の導入を望んでいることから、一日も早い輸入再開が待たれる。
 本イベントでは、各出展業者からそれぞれの自社商品のPRが行われ、錦鯉については尾形氏から「新潟の小さな山村を発祥の地とした錦鯉が、今では世界50以上の国と地域に輸出されている。どうぞこの機会に優雅に泳ぐ錦鯉の姿を観賞してください」との紹介がなされると、錦鯉の展示プールには大勢の関係者が集まり、会場の中でもひときわ多くの人で賑わう、一番人気のブースとなっていた。
 翌23日は会場を変え、「ブラジル新潟県人会」の設立70周年を祝う式典と懇親会に出席。在ブラジル日本国大使館の野口泰大使をはじめ、地元の県人会員など多くの招待客が集まり、新潟県から参加した関係者らにとっても、現地の人と交流を深める良い機会となっていた。
 ブラジル国内の錦鯉市場を調査するため翌24日には、広大な敷地に養魚場と日本庭園を築くMundo KoiのMarcos Gelsi氏の別荘を訪問した一行。弁護士であるMarcos氏は、錦鯉を趣味として楽しむ一方、実益を兼ねて生産にも取り組んでいるとのことで「ブラジルではこのように錦鯉の生産や愛好する人が数多く存在し、現地に根付いた錦鯉文化が形成されつつあることがうかがえた」と尾形氏は話す。
 今回のブラジル訪問の目的は錦鯉のPR活動と市場調査、そしてブラジルへの錦鯉輸出再開への道筋づくりであったが、輸出再開に向けた取り組みについては、花角県知事から野口大使へ直接口添えを行い、今後の取り組みに対する在ブラジル日本国大使館への協力を要請することができた。
 これまで、錦鯉業界にとって未開拓の地ともいえた南米市場。その開拓に向けた第一歩を踏み出すことができたのは、今回のブラジル訪問における最大の収穫になったといえるのではないだろうか。
(資料提供/新潟県・(一社)全日本錦鯉振興会・㈱尾形養鯉場)

ブラジル新潟県人会記念式典で公演する
花角英世新潟県知事
立派な池と庭園を構える
Mundo Koi・Marcos Gelsi氏の別荘

来場者に錦鯉をPRする尾形学氏
Mundo Koiが生産した2歳の紅白