スリランカ錦鯉レポート/柳村 大地(㈱KINDAI JAPAN)
飼育コンテストと
スリランカ錦鯉市場の今
スリランカ唯一の(一社)全日本錦鯉振興会会員であるKOI TSU AQUA主催の飼育コンテストが開催され、㈱KINDAI JAPAN代表の柳村大地氏が審査員として現地を訪れた。コンテストの様子をはじめ、錦鯉業者や愛好家宅への訪問を通して見えてきた、スリランカにおける錦鯉文化と市場の最新事情をレポートする。(日程:2026年7月4日〜5日)

㈱KINDAI JAPAN代表・柳村 大地
2009年から2011年まで、国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員としてスリランカで錦鯉の生産技術を指導。その後も定期的に現地を訪れ、講演などを通じて錦鯉文化の発展を支援してきた。2026年7月、㈱KINDAI JAPANとして(一社)全日本錦鯉振興会に入会し、現在はスリランカ、南アジア、中東地域における錦鯉の普及に取り組む。
スリランカの旧首都であり、最大都市コロンボの中心部から南東へ約21㎞に位置するコッターワの「KINDAI PET ZOO」を会場に、スリランカ唯一の振興会員であるKOI TSU AQUA主催の飼育コンテストが開催されました。日本動物薬品㈱の協賛のもと、地元のIS CEYLON KOIとYAMAKOSHI KOIが運営に協力しました。
この日持ち寄られたエントリー鯉は、昨年春に当歳魚として販売された紅白と昭和三色(㈱阪井養魚場、大日養鯉場㈱、大日養鯉場㈱トヨタ店産)で、愛好家がそれぞれ自宅で約1年間飼育したものになります。出品数は9匹と決して多くありませんでしたが、初めての試みにもかかわらず、多くの熱心な愛好家が興味を示し参加してくれました。
審査は私と日本動物薬品㈱の吉田隆一代表がオンラインで参加し、計8つの賞を選出しました。
全体総合優勝には大日養鯉場㈱産の昭和三色が輝き、二席には㈱阪井養魚場産の紅白、オスの部総合優勝には大日養鯉場㈱産の紅白が選ばれました。また、種別優秀賞の紅白と昭和三色には大日養鯉場㈱トヨタ店産、成長最優秀賞には㈱阪井養魚場産の紅白が選出されました。さらに、吉田代表による立て鯉賞には大日養鯉場㈱産の昭和三色が選ばれ、受賞者にはそれぞれ錦鯉飼料が贈呈されました。私も審査員特別賞として、大日養鯉場㈱産の昭和三色を選ばせていただきました。
表彰式では吉田代表による審査講評に続き、自宅の30トン池の設備について解説していただきました。参加した愛好家からは餌の種類や給餌回数、飼育設備など多くの質問が寄せられ、動画を交えながら一つひとつ丁寧に回答していただき、とても有意義な時間となりました。

Charitha Ranasinghe氏(KOI TSU AQUA)









作出/大日養鯉場㈱トヨタ店

作出/大日養鯉場㈱トヨタ店

作出/大日養鯉場㈱

作出/㈱阪井養魚場

作出/大日養鯉場㈱



今回の訪問で特に印象に残ったのは、スリランカにおける錦鯉の飼育技術の向上と、愛好家の皆さんの熱意でした。
以前は、輸入された直後が最も美しい状態であり、その後は成長するにつれて色艶が薄れたり、体型が崩れて痩せてしまったりする個体が少なくないという印象を持っていました。
しかし、今回はその印象が大きく変わりました。池の設計やろ過設備、水質管理、餌の種類など、飼育環境全体のレベルが着実に向上しており、多くの錦鯉が健康的に成長し、鮮やかな色彩を維持しながら、本来持つ素質を十分に引き出していました。
品評会や愛好家の自宅を訪問し、多くの錦鯉を見て回る中で、全体的に墨が出やすい飼育環境であるという印象を受けました。特に白写りや昭和三色は、どの池でも力強く鮮明な墨が現れており、非常に興味深く感じました。
また、飼育技術だけでなく、愛好家の皆さんが一尾一尾に惜しみない時間と情熱を注いでいる姿も、とても印象的でした。その積み重ねが錦鯉の品質向上を支え、スリランカの錦鯉文化が着実に成熟していることを実感しました。
さらに、愛好家の自宅を訪問した際には、スリランカ独自の近代建築として知られるバワ建築をはじめ、南アジアのモダン建築と錦鯉が見事に調和した空間を見ることができました。自然素材に加え、コンクリートや石、水、緑を巧みに生かした洗練された建築の中を優雅に泳ぐ錦鯉は、単なる観賞魚ではなく、空間そのものを演出する存在となり、スタイリッシュで美しい景観を生み出していました。
一方で、建築の視点から見ると、錦鯉の飼育池はデザイン性や設備面を理由に敬遠されるケースも少なくないと聞きました。特にろ過設備やメンテナンススペースは、景観との両立が課題となることが多いそうです。しかし、建築家や設計者との連携によって、これらの課題を解決しながら、さらに大きな可能性を広げられるのではないかと感じました。
今後は、スリランカの建築デザインと錦鯉飼育を融合させた池づくりや、景観を損なわないろ過システムの提案などを進めることで、新たな普及活動や業務提携につながる大きなチャンスが生まれると考えています。
青年海外協力隊として初めてスリランカを訪れ、錦鯉の普及活動を始めてから17年。その頃と比べると、現在の発展ぶりは想像以上です。今後もさまざまな交流を通じて、スリランカの錦鯉文化がさらに発展していくことを期待しています。


















